思いの外、風邪がツラくて、今日も一日家でゴロゴロ。
罪悪感なく、電話やメールの着信にびくびくすることなく、心ゆくまでゴロゴロできる正月って、すばらしい。
ところで誰しも風邪をひくと食べたくなるものがあると思います。
わたしの場合はフライドチキンです。
本来なら、身体が弱っているときに、油ものは避けた方がよいのでしょうけれど、今日も3つ、食べました。
思えばいつだったか子どもの頃、風邪をひいた土曜日に、「帰りに好きなものを買って食べなさい」と、親が千円くれたんです。
わたしはものすごくわくわくしながら、その千円を握りしめてモスバーガーへ行き、生まれてはじめてフライドチキンを買いました。
親には、風邪をひいているのに、なんでフライドチキンなんて消化の悪いものを食べるんだと笑われました。
でも食べてみたかったんです。フライドチキンというものが。
わたしの住んでいた田舎町には、ケンタッキーなんていうしゃれたものはなく、家庭の方針でファーストフードは食べさせてもらえませんでした。
フライドチキンは、子どものわたしにとって、憧れと自由の象徴でした。
いまはもう、その気になれば、じぶんのお金で好きなだけ、フライドチキンどころか、照り焼きバーガーも、フライドポテトも食べられる。
でも、だから、わたしはもう一生、あの風邪の日に食べたフライドチキンの感動を、味わうことはないのでしょう。
それでもいまだに、風邪をひくと無性にフライドチキンが食べたくなります。
憧れも、自由も、手に入れたら、憧れでも、自由でもなくなる。
分かってはいても、それを求めずにはいられない。
でも、まあ、それでいいじゃないの。
あの日ほどの感動はないけど、今日もフライドチキンは、やっぱりちゃんと美味しい。
それで充分じゃないかと、最近ようやく思えるようになってきた気がします。