2018年2月12日月曜日

2.11 念入りおばさんVS流し返しおばさん

学生の頃,短い期間だったけど,風呂のないアパートに住んでいたことがある。

女性専用のアパートで,建物は古かったけど,同じ敷地に住んでいる大家さん夫婦は優しかったし,きれいに手入れされた中庭に面して大きな窓があって,日当たりもよかった。

それに毎日銭湯なんて,むしろ贅沢な生活だったと思う。今からもう一度,あのアパートに住めと言われても全然嫌じゃない。銭湯が日常にある日々は,とてもよかった。

今日は久しぶりに銭湯へ行った。

近くにないので30分ばかしてくてく歩いた。

初めて行った銭湯は,ひのき風呂があって,タイルの絵は菖蒲だった。

洗面器の上に這いつくばるようにして,異様な念入りさで顔を洗うおばさんがいた。

その念入りおばさんの方から流れてきた泡を,嫌みっぽく流し返すおばさんがいて,そのおばさんは,念入りおばさんのことが相当気に入らないらしく,わたしにも,
「あの人の泡で滑るから気をつけて」
と,言ってきた。

その流し返しおばさんは,風呂から出てからも,念入りおばさんがどれだけ念入りに身体を洗っているか(股を20分くらい洗ってるとか)など,延々と話しかけてきた。

銭湯も毎日のこととなると,きっと色々大変なのだ。

流し返しおばさんがようやく別の人と喋り始めたので,そのまま脱衣所で,週刊文春の林真理子と宮藤官九郎のコラムを流し読んでだらだらした。

ふと,風呂に入る前,あれこれごちゃごちゃ考えていたことをすっかり忘れていたことに気づいた。

おばさんたちに感謝すべきなのかもしれない。

写真はいつかの稽古前にふらり寄った銭湯。

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