2017年9月2日土曜日

9.2 Hello Again の法則。

常々,「女というものは~」「やっぱり男って~」という話の切り口には慎重でありたいと思っているが,それでも「女というものは~」「やっぱり男って~」と言いたくなる時がある。

“人は女に生まれるのではない,女になるのだ”

というのは,ボーヴォワール先輩のあまりに有名すぎるお言葉だが,それってつまりはどういう事なのか。

話は少し逸れまして。

わたしが中学生の頃,My Little Loverの「Hello Again ~昔からある場所~」という曲が流行った。

クラスメイトが「Helli Again超イイ~」と言う中,わたしは当時,その良さが全っ然分からなかった。
それよりも,影山ヒロノブの「スターダストボーイズ」(『宇宙船サジタリウス』の主題歌。作詞:阿久悠,作曲:鈴木キサブロー)の方が全然よくね?と思っていた。

しかし,わたしはそれを誰にも言えなかった。

「わかるぅ~Hello Again超イイ~」とクラスメイトに話を合わせ,Hello Againを聴き,覚え,カラオケで歌った。

あんなに聴きまくっていた「スターダストボーイズ」は,いつの間には聴かなくなっていた。

そしてあれから20年が経ち,Helli Againを聴くと「Hello Again 超イイ~」と,本当に思っている自分がいる。

人間が「男になる」「女になる」ということは,それに似ている気がする。

「Hello Againがイイと言わないと,話についていけない」
「みんながあれほどイイと言っているHello Againがイイと思えないわたしは,ちょっとおかしいんじゃなかろうか」
「スターダストボーイズが好きなんて言ったら変なやつだと思われるかもしれない」

そんな事を思ううち,いつのまにか本当に「Hello Again」が良い曲だと思うように,わたしはなった。

別にいいんだけど。
実際今は本当によい曲だと思ってるから。
だけどわたしは,「スターダストボーイズ」が好きだった自分のことも,忘れたくない。

そして,全然「Hello Again」が好きじゃなかった自分の事も。

わたしは,生まれた時に女なるものと認識され,それ故に女として育った。

いま幸せだ。
女であることに異論はない。

しかし,

女になるためにやってきた少なからずの事を,
男ではなかったために予め失われた幾つかの事を,

絶対に忘れずにいようと思うし,

女か男,どちらかでなければならないために,恐らくこれからも続く葛藤を,

これからも大切に抱えてゆきたいと思う。

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