某女史と「何だかんだいって,まだ演劇を続けていられることが奇跡だ」という話になった。
某女史は,演劇系の学校を卒業した後,一度就職したが,ひょんな事から小劇場の舞台に立ち,再びこの世界に戻ってきた。
女史曰く,その芝居自体は“糞みたい”だったとの事だが,観に来てくれた先輩から「演劇の神様に呼ばれたんだね」と言われたそうだ。
女史は今も,その先輩の一言が,強く心に焼きついているという。
わたしも昔,お世話になった映画監督の方から言われたことがある。
「自分の意思とは関係なく,やりたくてもできない時が来る。できるってことは,神様がやれって言ってるんだよ」
わたしが折に触れ,思い出す言葉だ。
なぜ今も演劇を続けているのか,という問いに一言で答えることはとても難しい。
好きだから。だけではもはや済まない。
因縁,もしくは人生をかけた実験。
わたしはまだ当分演劇をやっていくのだろうと思う。出来る限り。神様がやんなよとおっしゃる限り。
ただ,以前演技講師をしていた時,巣立ってゆく教え子たちに伝えていたことだけは,自分でも決して忘れまいと思うのだ。
「あなた方の人生の目的は,演技を続けることではありません。
幸せになることです。
どうか幸せになってください」
0 件のコメント:
コメントを投稿